ヤフー株式会社 代表取締役社長
宮坂 学様
MANABU MIYASAKA
1 / 3
辞める人より、現役社員の気持ちが大切。
トシ
話はちょっと変わるのですが、私がヤフーを辞める相談に行った時のことです。そうしたら、『うん、喜多埜と話しといて』と言われ、最初は聞いてもらえなかったんですよ。
宮坂
あ、そうでしたか。
トシ
それで喜多埜さんと話していて、結局、決まりましたとなって、志立さんといっしょに3人で飯食いに行ったんですよね。いったんの引き継ぎもありましたから。でもそれだけじゃなくて、事業部内でみんなに報告した日も、最終の出社日にも、どちらも井上さんは顔を出してくれたんです。
宮坂
あの井上さんが?
トシ
そうです。
宮坂
それは意外です。
トシ
ありがたかったですね。井上さんは辞める人には会わないという都市伝説みたいなものがあったので、これだけ頻繁に会っていただけるとは思ってもみませんでした。
宮坂
そもそもあの井上さんが辞める人には冷たすぎるとか、不自然じゃないですか。それで一度、尋ねてみたことがあるんですね、なんで辞めた社員と会わないんですかと。そうしたら、『現役社員にだって全員会えないのに、辞めた人間には会えないだろう』と・・・。
トシ
順番が違うだろ、と言うことですね。
宮坂
たしかに理屈で言うとそうですよね。辞めた人を優先したら、現役社員が嫌がるかもしれない。私もそれは一理あると思いました。
トシ
その話は初めて知りました。いいエピソードですね。
宮坂
でも、モトヤフの集まりに来てくれたとき、『いまでもヤフーを辞めた奴はバカだと思ってる。でも、少なくともオレが採用した奴ばかりだから、一個はいいところがある』と(笑)。この憎まれ口と優しさのブレンドが、相変わらずだと思いました。もう、たまらなかった。
トシ
あと思い出すのが、検索に対する売上のプレッシャーですね。厳しいクォーターがあったとき、『トシのところで何とかしてくれ』という依頼がけっこうありました。そうしたことへのフォローの気持ちも、ちゃんと持っていたと感じています。
宮坂
あの時は悪かったとは、口では決して言わないものの、ですね。
トシ
事業部長の立場からすると、自分の事業に無理させることは、正直言ってやりたくない。そこは経営者だから、やむなくだったのかな、と・・・。
宮坂
口は悪かったけど、組織のことはよく見ていました。だからそうやって負荷をかけたことに対しては、感謝していたと思います。
トシ
私が辞める直前の頃は、私だけでなくリーダークラスも社長室に呼んで、一緒に話をしてました。何か思うところがあったのかもしれません。
宮坂
それで思い出したのですが、「門前の小僧、習わぬ経を読む」だからということで、中途入社の人間によく議事録を取らせていました。事業がわからないと、議事録なんて書けないじゃないですか。私も書かされたクチなんですが、おかげですごく勉強になりました。
トシ
技術用語なんて、特に大変ですよね。
宮坂
そう、まず日本語からしてわからない。そこを先輩に尋ねながら、1年くらい真剣に書き起こしていたら、だんだんわかるようになってくるんですね。最近、テープ起こしのように書く人がいるけれど、あれはちょっと違うと思う。
トシ
自分なりの解釈と、まとめる力が必要です。
宮坂
会話をひたすら打ちまくる人とか、それは将来、AIに取って代わられるでしょうから。
-
「ユニサーチ」製品情報
ECサイトの売上アップを らくらく実現する商品検索エンジン
サイト内検索コラム
サイト内商品検索の改善に役立つTipsや、運用改善方法などをご紹介しています。
ユニナレ対談
- 対談 05
本橋 徹(株式会社バルーン)
- 対談 04
曽山 哲人(株式会社サイバーエージェント)
- 対談 03
ヤフー前社長・井上雅博
[追悼対談]
- 対談 02
宮坂 学(ヤフー株式会社)
- 対談 01
安武 弘晃(元 楽天株式会社)