Eコマースに必要なサーチ機能とは?導入のポイントや成功事例も紹介
ネット上の店舗では、どれだけ豊富な商品を揃えていても、必要なアイテムを即座に見つけられなければユーザーはあっさり離脱してしまいます。ユーザーの離脱という課題を解決する上で役立つのがサーチ機能です。
この記事では、Eコマースにおいてサーチ機能が重要視される背景や、導入時に押さえておきたいポイント、検索精度を高めて成果を上げた事例を解説します。サーチ機能の使い勝手はUXの改善において重要なだけでなく、売上にも直結する要素のため、ぜひ参考にしてください。
目次
1.Eコマースとは?ECサイトの違いは?
Eコマースとは、インターネットを介して商品やサービスを取引する活動全般を表す広い概念です。「Electronic Commerceの略称で、日本語では「電子商取引」と訳されたり、簡略的に「EC」とも表現されたりします。Eコマースには、ネットショッピングだけでなく、ネットオークションや電子的データ交換(EDI)なども含まれます。
ECサイトは、Eコマースを実現するためのプラットフォームのことです。インターネット上で商品やサービスを提供し、購入者が簡単に選んで購入できるよう設計されています。楽天市場やAmazonのようなモール型のサイトや、自社で運営する独自のWebサイトが一般的です。
Eコマースは取引そのものを指す言葉、ECサイトはその取引を行うためのツールや窓口を指す言葉と考えると分かりやすいでしょう。
2.Eコマースでサーチ機能が重要な理由
サイト内検索機能の利便性は、送料や価格の安さと並び、ECサイトの利用を決定づける重要な要素です。株式会社博報堂の調査によれば、ECユーザーの34.3%が「商品を検索しやすい」点を重視していると答えました。これは送料の無料化や価格の安さに並ぶ割合であり、サーチ機能が消費者の購買行動に直結することを示しています。
出典:博報堂「博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」HAKUHODOEC+、「EC生活者調査」を実施―健康食品・飲料の約7割、化粧品の約4割以上でECシフトが進む―」
ECサイトでは膨大な商品情報を扱うため、ユーザーが求める商品を迅速に見つけられるサーチ機能が必須です。以下では、サーチ機能がCVRや売上向上にもたらす影響を解説します。
2-1.UXが悪いとCVRが下がる恐れがある
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、製品やサービスを利用する際に得られる体験のことです。ECサイトでは、ページのデザインやナビゲーションの分かりやすさに加え、サイト内検索ツールの精度がUXに大きく関わります。
たとえば、関連性の低い結果が表示されたり、希望の商品の存在自体が分からなかったりすると、ユーザーがサイトを離脱しかねません。反対に、サーチ機能でユーザーが目的の商品をスムーズに見つけられれば、購入につながる確率が高まります。検索体験の改善は、CVRの向上に直結すると言っても過言ではありません。
2-2.さらなる売上アップを目指せる
商品検索機能は単に商品を見つけるためのツールにとどまらず、データ分析を通じて売上向上にも貢献します。たとえば、検索クエリのデータを分析すると、ユーザーが何に興味を持っているのかを把握できます。この情報を基に人気商品を特集したページを作成したり、需要が高まる商品を強調表示したりすれば、貴重な販売機会を逃しません。
さらに、レコメンド機能があれば、アップセル、クロスセルといった施策の最適化にもつながります。ECサイトの商品検索におけるレコメンド機能とは、利用者の検索履歴から、同じ商品やカテゴリに関心を持っているほかの利用者を関連づけて、ほかの利用者がよく見ているが、利用者はまだ見ていない商品を表示させる仕組みです。
レコメンド機能を活用して関連商品を提案すれば、ユーザーの購入意欲を引き出し、客単価の向上が期待できるでしょう。また、検索データをもとに売れ筋商品を特定し、マーケティング戦略を見直せば、競争力の強化も実現できます。
3.現状のEコマースにおけるサーチ機能の課題
Eコマースのサーチ機能は過去に比べて大幅に改善されており、ユーザーが商品を見つけやすくなりました。しかし、現在でもいくつかの課題が残っています。
課題の1つは、検索ボックスの視認性です。特に、検索ボックスが小さすぎたり、設置位置が分かりにくかったりする場合、検索機能に気づけないユーザーが少なくありません。
次に、入力ミスや曖昧な検索キーワード入力に対する対応不足です。検索エンジンが一般的な同義語を認識できなければ、ユーザーニーズを正確に汲み取れず、欲しい商品へ辿り着けません。
検索結果の絞り込み機能やフィルターの不備も課題です。ページネーションや並べ替え、属性の選別が適切に機能しないと、ユーザーが必要な商品を見つけられずにストレスを感じます。
これらの課題は、競合他社との差別化を図る上で、解決が求められる重要なポイントです。シームレスで直感的な検索体験の提供が、現代のECサイト運営者に求められています。
4.Eコマースのサーチ機能に必要な要素
Eコマースにおけるサーチ機能は、ユーザーが必要な商品やサービスを素早く見つけるために欠かせないツールです。適切なサーチ機能を導入すれば、顧客満足度向上だけでなく、コンバージョン率や売上向上にもつながるでしょう。以下では、優れたEコマースのサーチ機能に必要な4つの要素を解説します。
4-1.AIを活用した高精度な検索アルゴリズム
AI技術を取り入れた検索アルゴリズムは、Eコマースのサーチ機能を大幅に向上させる要素です。従来型のキーワード検索機能では、ユーザーの検索意図を把握し切れないケースも多くありました。しかし、AIによるサーチ機能は、膨大な購買行動データや検索ログを分析することで、より正確な検索結果を提供できます。
AIは機械学習を通じて、トレンドや季節性を反映した検索結果を自動的に生成します。たとえば、同じ「ワンピース」の検索結果でも冬季には厚手のアイテム、夏は薄手のアイテムと、季節が変わるにつれて変化する売れ筋を反映することが可能です。また、パーソナライズ機能により、再訪したお客様の好みをAIが学習し、繰り返し購入される商品を優先表示するなど、お客様に応じて一人ひとり違う検索結果を提供します。
さらに、ECサイト内検索ツールにはフォールバック機能がついているツールもあります。フォールバック機能とは、検索クエリに完全一致する商品が見つからない場合でも、類似の商品や関連するアイテムを提示する機能です。この仕組みによって、店舗側はゼロマッチによる機会損失を防ぎ、ユーザー側も自分の探していたものに近い商品を探せます。
4-2.入力の手間を省くサジェスト機能
サジェスト機能は、ユーザーが入力を始めた瞬間に検索キーワード候補を提示する機能です。ユーザーの手間を省き、顧客体験をよりよいものにします。
たとえば、「スニーカー」と入力し始めた場合、「スニーカー メンズ」や「スニーカー レディース」などの候補が表示されます。サジェスト機能により、ユーザーは目的の商品にすばやくアクセスでき、検索ミスも減少します。
AIを活用した検索サジェストでは、よく検索されるキーワードや、キーワード毎の購買データ・商品データを基に、各サイトで人気の高いキーワード候補を提示します。
サジェストの実装によりキーワード検索がスムーズになり検索数が増え、入力ミスや検索も減るためゼロ件ヒットを防ぐことも可能です。
4-3.複数の条件を指定し検索をする絞り込み機能
絞り込み機能は、ユーザーが必要な商品をすぐに見つける手助けをします。ユーザーが指定した特定の条件(商品カテゴリー・色・サイズ・価格帯など)にしたがって検索対象を絞り込み、目的の商品に効率よくたどり着けるようにするための重要な機能の1つです。扱う商材にあわせて絞り込み条件をカスタマイズすることで、ユーザーの利便性をより高める事ができます。
また、検索結果の並べ替えや除外機能もあれば、ユーザーが自分に最適な商品を素早く選択できる環境を整えられるでしょう。いずれの機能も、特に多種多様な商品を取り扱うECサイトにおいて有効です。
4-4.モバイルフレンドリーなレイアウト
スマートフォンの普及に伴い、携帯端末を用いた電子商取引である、Mコマース(モバイルコマース)の需要が増加しています。ECサイトでも、表示速度の高速化や、画面サイズに応じて自動的に表示を調整するレスポンシブデザインの採用など、端末での閲覧を最適化する「モバイルフレンドリー」な設計は必須となりました。
また、タッチ操作に適した大きなボタンや簡素化されたナビゲーションメニューを実装し、ユーザーがストレスなく操作できる環境を整えるのも大切です。
加えて、モバイルユーザー向けに特化した検索方法として、在庫検索やバーコードスキャンによる検索機能を導入すれば、モバイル特有の利便性を提供できます。これらの機能は、外出先で購入を検討するユーザーにとって役立ちます。
5.Eコマースにサーチ機能を導入する際のポイント
Eコマースにサーチ機能を導入する際は、適切なポイントを押さえた設計と実装の工夫が欠かせません。ポイントを意識しないと、サーチ機能が本来の役割を果たせず、ユーザーの満足度や売上に悪影響を及ぼす可能性があるためです。以下では、特に重要なポイントを3つ解説します。
5-1.分かりやすい位置に検索機能を置く
検索機能がすぐ見つからないと、ユーザーの離脱率は上がる傾向にあります。そのため、ECサイトの検索窓は、常に見つけやすい場所へ配置するのが基本です。
また、検索窓が常時表示されていれば、ユーザーは1タップ以内に検索を開始できます。たとえば、追従型のヘッダー部分やサイドメニュー、ナビゲーションバーに検索窓を固定表示すれば、ページのどこからでも素早いアクセスが可能です。
また、検索窓の形状やデザインも重要です。「虫眼鏡アイコンをクリックして開く」「都度メニューを開く」といった設計よりも、一般的に検索窓と認識されやすい「ボックスタイプ」のほうがよいでしょう。検索機能の分かりやすさは、ユーザー体験の向上につながります。
5-2.検索結果に表示する情報を厳選する
検索結果に表示する情報量も、ユーザーの閲覧体験に大きな影響を与える要素です。情報を詰め込みすぎると画面が散らかり、どこに重要な情報があるのか分かりにくくなります。一方、情報が少なすぎると、ユーザーは目的の商品を探すために余計なクリックや操作を強いられるため、バランスが大切です。
検索結果には商品画像・価格・商品名・割引情報など、ユーザーが購入判断に必要とする情報を優先的に表示するとよいでしょう。また、商品詳細ページへのリンクや「お気に入りに追加」ボタンなどのアクションも明確に配置し、ユーザーがスムーズに次のステップへ進めるよう配慮する必要があります。情報を厳選することで、ユーザーにとって快適な検索体験の提供が可能です。
5-3.ストレスを感じない表示速度にする
検索結果が表示される速度も、ユーザーの満足度やコンバージョン率に直結する要素です。表示が数秒遅れるだけで、ユーザーが離脱するリスクは増加します。
検索機能の表示速度を向上させるには、いくつかの工夫が有効です。たとえば、商品画像の圧縮や、必要最低限のデータだけを最初に読み込む仕組み(遅延読み込み)を導入し、ページの軽量化を図るとよいでしょう。
また、検索処理に負荷がかかりやすい場合は、サーバーの最適化やキャッシュ機能を活用し、ユーザーへ迅速に結果を届けられる環境の整備が求められます。さらに、ローディングアニメーションなどを表示してユーザーの心理的なストレスを緩和するのも効果的です。
検索速度の速い検索ツールを採用する事も重要な要素の1つです。
6.Eコマースのサーチ機能を最適化した事例
Eコマースのサーチ機能の導入方法は、大きく分けてGoogleカスタム検索の活用・専用検索エンジンの導入・既存ECシステムの機能利用の3つです。いずれの方法を選ぶにせよ、検索機能を最適化することでユーザー体験が向上し、売上の増加が期待できるでしょう。以下では、ユニサーチの提供するサーチ機能を導入した事例を3つ紹介します。
6-1.株式会社富澤商店様
株式会社富澤商店様が運営する、お菓子・パン作りの材料器具専門ECサイト「富澤商店オンラインショップ」では、商品検索に加え、レシピや特集ページなどを同時検索できる機能をユニサーチで実現しました。
検索結果はタブで分類され、商品・レシピ・ラッピングなどの関連情報が一目で確認可能です。また、検索AIが並び順を自動最適化し、ユーザーの利便性を向上させています。さらに、検索サジェスト機能によるキーワード入力のサポートで、関連ワードでの絞り込みも容易になりました。
6-2.東日本旅客鉄道株式会社様
東日本旅客鉄道株式会社様が運営する「JRE MALL」では、ショッピング・チケット・ふるさと納税の3サービスを同時検索できる総合サイトをユニサーチで実現しました。
「JRE MALL」では、AIがトレンドを自動反映し、目的の商品を効率的に見つけられるほか、キーワードサジェスト機能により、入力負荷を大幅に軽減しています。長い商品名やイベント名もスムーズに検索できるようになる為、スマートフォンユーザーからも好評です。
6-3.株式会社大創産業様
株式会社大創産業様が運営する「DAISOアプリ」は、店舗・在庫検索機能にユニサーチを採用しました。近くの店舗を探したり、欲しい商品の在庫状況を店舗ごとに確認できるのが特徴です。
カテゴリーやキーワード予測をAIがサジェストし、リピート検索時には過去の検索履歴を活用して素早く結果にアクセスできます。また、トレンドを反映した検索結果の表示により、ユーザーが話題の商品を効率的に見つけられるようになりました。
7.未来におけるEコマースのサーチ機能
AI技術の進化により、Eコマースのサーチ機能もより検索精度が高く、ユーザー体験を向上させる方向に進化しています。今後は、従来のキーワード検索を超えた新しい手法が普及するでしょう。以下では、ユーザーの検索ニーズを的確に捉え、快適な購買体験を提供すると予測される、未来のサーチ機能を3つ紹介します。
7-1.自然言語(文)検索
自然言語検索は、単語の羅列ではなく、文章として検索クエリを入力する仕組みです。この技術は、ユーザーが複雑な情報をより的確に表現しやすくなる点が大きな特徴です。
従来のキーワード検索で欲しい結果を得るには、ユーザー自身が適切な検索ワードを選ぶ必要がありました。しかし、自然言語検索を活用すれば「おしゃれで軽い通勤バッグが欲しい」といった文章を入力するだけで、最適な結果を得られます。
抽象的な人間の考え方に合わせた情報検索には、自然言語処理を活用したAI技術が必須です。音声入力と組み合わせることで、さらに直感的な検索体験が実現するでしょう。
7-2.対話型AI
対話型AIを活用したサーチ機能では、ユーザーがまるで店員と会話しているかのような体験を得られます。チャットや音声入力で商品を検索できるだけでなく、質問や相談にもリアルタイムで対応可能です。
たとえば、「おすすめのワインを教えて」と入力すると、ユーザーの好みや予算をヒアリングした上で、最適な商品を提案します。また、在庫や配送情報の確認もリアルタイムで可能です。
対話型AIは、シナリオ型(定型質問対応)とAI型(FAQ対応)の2つに分類されます。シナリオ型にできるのは事前に設定した定型文による対応のみですが、AI型では購入履歴や検索行動データを活用した柔軟な対応が可能です。
7-3.AIによるパーソナライズ
AIによるパーソナライズは、ユーザーごとの嗜好や行動データを活用して、最適な商品を提案する機能です。たとえば、過去に購入した商品や検索履歴を分析し、関連性の高い商品を優先的に表示します。
ユニサーチでも、繰り返しクリックされた商品や購入履歴を基に個別化された検索結果を表示する、パーソナライズ機能を提供しています。特に、ネットスーパーなど日用品を扱うECサイトでは、購入頻度の高い商品を優先的に提案することで、利便性が向上するでしょう。
また、表記ゆれ対応やサジェスト機能なども備えており、検索時のストレス軽減が可能です。ユニサーチのサイト内検索サービスは、AIにより再訪するお客様の好みの反映や、目的の商品を見つけやすい検索体験の提供を可能とします。
まとめ
検索の容易さは単にユーザビリティを高めるだけでなく、ECサイトの売上向上やブランド価値の向上にも大きく貢献します。AIによる検索結果の最適化や、自然言語処理による検索、対話型AIによる応対などがあれば、ユーザーが求める情報をより正確に届けられるようになります。
ユーザーの意図を瞬時に把握し、多彩な商品やサービスを最適な形で提示するサーチ機能は、今後のEコマースの成長を支えるカギです。ぜひ、ユニサーチのようなAIを使った検索機能を自社のECサイトに導入してください。
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