サジェスト機能とは?仕組みや実装方法・ECサイトでの活用術を解説
ECサイトの売上向上やユーザーの利便性向上を目指す際に、重要な要素となるのが「サジェスト機能」です。この機能は、ユーザーが検索窓にキーワードを入力する途中で関連性の高い候補を提案する仕組みで、入力ミスを防ぎながら迅速な検索を可能にします。
特にECサイトでは、トレンドや季節性に応じたキーワードをサジェストに反映すれば、ユーザーの最新ニーズに応えることができ、結果としてコンバージョン率の向上や売上拡大につながるでしょう。
当記事では、サジェスト機能の仕組みや実装方法、活用戦略を詳しく解説し、実践的なアプローチを提供します。
目次
1.サジェスト機能とは?
サジェスト機能とは、検索窓にキーワードを入力する際に、入力する語句の予測や関連性が高いキーワード候補を自動的に表示する機能のことです。
サジェスト機能のサジェストは英語の「suggest」に由来していて、「提案する」という意味があります。なお、サジェスト機能の呼び方は検索エンジンごとに違いがあり、Google検索では「Googleサジェスト」、Yahoo!検索では「入力補助」という名称です。
サジェスト機能は、ユーザーの検索をサポートし、入力の手間を省くだけでなく、関連キーワードを提案することで検索効率を高める役割を果たします。
1-1.ECサイトにおけるサジェスト機能の目的と重要性
ECサイトにおけるサジェスト機能の主な目的は「ユーザビリティの向上」です。
サジェスト機能はユーザーの検索意図を補助し、関連性の高い内容を迅速に提案して、ユーザーの検索体験を向上させられます。入力の手間を省くだけではなく誤字脱字も減らせるため、ユーザーの利便性を高めることが可能です。
特にスマートフォンユーザーはキーボード画面での文字入力が手間であり、タップミスや変換の面倒さがサイト離脱につながる可能性があります。サジェスト機能によって入力の予測や検索候補の提案が行われるだけで、検索利用者数の増加につながるでしょう。
サジェスト機能を導入すればユーザーが目的の商品ページにたどり着きやすくなるため、1人あたりの売上が上がるメリットもあります。
2.ECサイトにおけるサジェスト機能の仕組み
サジェスト機能で表示するサジェストキーワードについて、どのように検索候補が決定されるかが気になる方は多いでしょう。
ECサイトにおけるサジェスト機能の仕組みを、3つのポイントに分けて解説します。
2-1.過去の検索データの活用
サジェスト機能ではユーザーの入力した文字をもとに、過去の検索履歴を分析して、頻繁に検索されるキーワードをサジェストとして表示します。
例としてアパレル系ECサイトで「スウェット」と入力すると、検索ボリュームが大きい単語(スウェットパンツなど)がサジェストキーワードで表示される仕組みです。
また、ユーザーの検索パターンを学習して、入力途中でも関連性の高いキーワードを予測して表示する機能もあります。アパレル系ECサイトの例であれば、「s」と入力した時点で「スウェット」「スカート」「スラックス」といったキーワードが表示されるでしょう。
商品データも参照し正しい名称を提案するため、入力ミスや表記揺れを防止して、正確な検索結果を提供できます。
2-2.商品カテゴリーとの連携
サジェスト機能には、キーワードに関連する商品カテゴリーをサジェスト候補として表示して、ユーザーの絞り込みを支援する役割もあります。
アパレル系ECサイトで「シャツ」と入力したとき、関連するカテゴリーの「メンズ」「レディース」「長袖」などがサジェストに表示される仕組みです。商品カテゴリーのほかにも、商品名やブランド名が検索候補に挙げられるケースもあります。
ECサイトの検索機能を利用するユーザーは一般的に、興味のある商品カテゴリーがある程度決まっています。サジェスト機能をカテゴリ情報と連携することで、ユーザーが目的の商品により早くたどり着けるようになるでしょう。
2-3.トレンドと季節性の反映
サジェスト機能は、一定期間内に検索ボリュームが急増したキーワードをトレンドとして判定し、サジェストキーワードに反映するケースもあります。季節・イベントに関係する情報や、メディアで話題になったワードなどが挙げられます。
アパレル系ECサイトで年末のトレンド・季節性が反映された場合、「秋冬」「クリスマス」「福袋」といったサジェストキーワードが候補として表示されるようになるでしょう。
リアルタイムのトレンドデータをサジェスト機能に活用することで、ユーザーの最新のニーズに合わせたサジェストを提供しやすくなります。トレンドや季節感を重視するユーザーが多いECサイトにおいて、売上向上につながる重要な機能です。
3.ECサイトにおけるサジェスト機能のメリット
ECサイトにサジェスト機能を導入するべきかで悩んでいる方は、サジェスト機能を導入するメリットをもとに、必要かどうかを判断することがおすすめです。
以下では、ECサイトにおけるサジェスト機能のメリットを4つ紹介します。
3-1.ユーザーの検索体験の向上
ECサイトにサジェスト機能を導入すると、ユーザーが商品検索をしやすくなって検索体験が向上します。検索体験とは、ユーザーが検索を通して得られる総合的な体験のことです。
ECサイトは商品数が多く、ほとんどのユーザーは検索を行って商品ページにたどり着くため、検索体験が優良かどうかは顧客満足度にかかわる要素です。掲載商品数や商品説明でユーザーを惹きつける工夫をしていても、検索体験が悪ければECサイト全体の魅力は減少します。
サジェスト機能はユーザーの検索意図を補助し、関連性の高い内容を迅速に提案するため、ユーザーに優良な検索体験を提供可能です。
3-2.離脱率の軽減・回遊率の向上
サジェスト機能は、ユーザーの利便性を高めることにより、ECサイトからの離脱率の軽減と回遊率の向上を図れます。
離脱率とは、特定のページでユーザーがサイト閲覧を終了した割合のことです。ECサイトのトップページや検索ページの離脱率が高い場合、検索機能に問題があると考えられます。
もう1つの回遊率は、ユーザーが1回の訪問で閲覧したページ数の割合です。ECサイトではユーザーが商品の比較検討を行うことが多く、購買に至るユーザーが多いほど回遊率も高まると考えられます。
サジェスト機能は、ユーザーがキーワードを入力する手間を省き、誤字脱字の発生も減らせるため、検索途中でのユーザーの離脱を防ぎやすい点がメリットです。離脱率を軽減すれば、ユーザーが多くのページを閲覧するようになって回遊率も向上します。
3-3.表記揺れの防止
サジェスト機能には、表記揺れを防止するメリットもあります。
表記揺れとは、「いす/イス/椅子」のように同じ意味の言葉でも平仮名・カタカナ・漢字などで表記が分かれることです。ユーザーが表記揺れのキーワードで検索を行った場合、該当するページを表示できずに目的のページにたどり着けない可能性があります。
サジェスト機能は、ユーザーの入力語句に沿ってサジェストキーワードを表示できるため、表記揺れの対策が可能です。
また、ユーザーの過去の検索履歴にもとづいてパーソナライズされたサジェストも表示できます。「過去に調べた商品を今購入したい」というときにも、過去の検索キーワードをそのまま提案してくれるためコンバージョン率アップにつながります。
3-4.ECサイトの販売促進・売上アップ
サジェスト機能は、ユーザーの利便性を高めるだけではなく、ユーザーに対しておすすめのキーワードや商品を提案する効果もあります。サジェスト機能によってユーザーが興味関心を持つ商品の幅を広げられるため、ECサイトの販売促進・売上アップが期待できるでしょう。
例として、ECサイト内の検索キーワードログを利用すれば、最新のトレンドをサジェストに反映させられます。
また、ECサイト内でのユーザーの行動ログを利用すると、検索ボリュームが多く、ユーザーのクリックや購入につながったキーワードをサジェストに反映することも可能です。
ECサイト内の検索ユーザーが増えるほど、提案できるサジェストキーワードは強化されます。サジェスト機能でユーザーが検索しやすい環境を構築し、検索ログからのキーワード取得で効果的な提案を行うという好循環を生み出せます。
4.ECサイトのサジェスト機能実装方法
ECサイトにサジェスト機能を導入したい方は、サジェスト機能の実装方法を理解することが大切です。
以下ではECサイトのサジェスト機能実装方法を2つ紹介します。2つの方法を比較して、自社に適している方法を選ぶとよいでしょう。
4-1.サイト内検索ツールの活用
ECプラットフォームに組み込まれた検索機能を活用すると、サジェスト機能を簡単に実装できます。ECプラットフォームの検索機能の中には、サジェスト機能が付帯しているものがあり、サジェスト機能を有効化すればユーザーの検索に対してサジェストを素早く提供可能です。
高度なサジェスト機能を実現したいときは、サードパーティのASP型サイト内検索ツールを導入する方法がおすすめです。サイト内検索ツールは検索機能が充実しているものが多く、対応できるサジェストもキーワードをはじめ、履歴・カテゴリ・ジェンダー・ブランドなど豊富な種類があります。例として、ユニサーチが提供しているユニサジェストは、AIによる高度なサジェスト機能を供えた製品です。
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サイト内検索ツールを活用することで、開発コストを抑えつつ効果的なサジェスト機能を実装できるでしょう。
4-2.カスタム開発によるサジェスト機能の実装
サイト内検索ツールを使用せず、カスタム開発によってサジェスト機能を実装する方法もあります。データベースから過去の検索データや商品情報を取得して、サジェスト候補として活用する方法です。
サジェスト機能のカスタム開発ではJavaScriptを使用して、ユーザーのキーワード入力に応じてリアルタイムでサジェストを表示します。ECサイトの特性に合わせて、商品カテゴリーや属性情報を考慮したサジェスト候補を用意する必要があるでしょう。
カスタム開発をする方法は、自由度が高いサジェスト機能を実装できる点がメリットです。一方でカスタム開発には専門知識を有するエンジニアの協力が不可欠であり、開発コストも高額になるデメリットがあります。
5.ECサイトにおけるサジェスト機能の注意点と対策
ECサイトにサジェスト機能を導入することは多くのメリットがあるものの、気を付けたい注意点もいくつかあります。
ECサイトにサジェスト機能を導入する方は、以下で紹介する注意点と対策を押さえましょう。
5-1.適切なキーワード表示の重要性
ユーザーに対して効果的なサジェストキーワードを提供するには、ECサイトの目的とターゲットユーザーに合致したキーワードを表示することが重要です。適切なキーワード表示を行うには、ロングテールキーワードも活用しましょう。
ロングテールキーワードとは、複数キーワードを組み合わせた複合キーワードであり、かつ月間検索ボリュームが小さいキーワードのことです。ロングテールキーワードはユーザーの検索意図がはっきりしていることが多く、対策すると商品購入につながりやすい特徴があります。
なお、サジェストツールによるサジェストキーワードの選定方法には、「手動でキーワードを登録する」と「自動でキーワードを生成する」の2パターンがあります。
手動でのキーワード登録はサジェスト候補を調整できるものの、管理が大変で運用負荷が高くなる方法です。対して自動でのキーワード生成は、よく検索・登場しているワードをデータベースから自動抽出するため運用負荷が低く、ユーザーニーズに合ったサジェスト表示ができます。
5-2.独自開発する場合のサーバーにかかる負荷の確認
サジェスト機能を独自開発で実装する場合は、サーバーのリソース使用状況を定期的にモニタリングして、パフォーマンスへの影響を評価する必要があります。多数のユーザーが検索を行うとサーバーに大きな負荷がかかり、最悪の場合はサーバーがダウンする可能性もあるためです。
サーバーへの負荷を軽減するには、キャッシュ機能を活用します。頻繁に検索されるキーワードのサジェスト結果を事前に保存することで、サーバー負荷を軽減できるでしょう。
また、負荷分散技術を導入して複数サーバーでサジェスト機能を処理することでも、システム全体の安定性を確保できます。一方、独自開発ではなく外部ツールを利用する場合、サーバーはツールベンダー側で用意されているため、ECサイト側でサーバー負荷を懸念する必要はありません。
6.【実践編】ECサイトでのサジェスト機能活用戦略
ECサイトでサジェスト機能を効果的に活用し、ユーザーの利便性を向上させながら売上アップを目指すためには、具体的な活用戦略を押さえることが大切です。
最後に、ECサイトでのサジェスト機能の活用戦略を3つのポイントに分けて解説します。
6-1.サイト・ユーザー属性に合ったサジェスト機能を導入する
サジェスト機能で表示するキーワードが、よりユーザーの検索意図に関連した内容となるように導入する機能を検討しましょう。検索キーワードに関連する商品カテゴリーや属性情報をサジェストに含めることで、ユーザーを目的の商品ページへと迅速に誘導できます。
サジェストで商品名やカテゴリを提案するだけではなく、商品画像やメーカー名を掲載する表示方法もあります。サジェストの段階で商品のイメージや関連情報を伝えられれば、ユーザーの購買意欲を刺激して新たな需要を創出できるでしょう。
さらに、ユーザーの検索履歴を活用してパーソナライズされたサジェストを提案できると、より効果的に購買行動を促せます。
6-2.トレンドや時期に応じてキーワードを変更する
ECサイトのサジェスト機能は、トレンドや時期に応じてキーワードを変更することも大切です。季節・イベントなどに合わせたサジェストキーワードに更新すると、ユーザーの検索意図に合った商品を提案できます。
トレンドに応じたキーワードの変更では、リアルタイムのデータ分析が重要です。24時間や1週間の間に検索数が急増したキーワードを特定し、話題の商品や人気ワードとしてサジェストに組み込みます。
一方で季節・イベントに対応するキーワードを盛り込むときは、過去の販売データや検索履歴を分析します。合わせて時期に応じた需要予測も行えば、適切なキーワードを提示することが可能です。
サジェストにトレンドや季節を反映する場合、手動更新が必要なサジェストツールでは上記のような分析作業が発生し、運用負荷が高くなります。一方で、検索キーワードログや販売データを利用し、キーワード候補を自動生成するサジェストツールを利用すれば、運用負荷を軽減し効果的なキーワードを提示する事が可能になります。
6-3.検索結果が0件にならないようにする
自動運用のサジェストでは常に最新の商品データを参照し、基本的に検索結果が0件となるサジェスト候補は表示されませんが、手動運用の場合は検索結果が0件にならないよう注意する必要があります。
サジェストキーワードを提示しても、該当する検索結果が0件ではユーザーの利便性は向上しません。「提案されたキーワードで検索しても何も表示されない」と、かえってユーザーに不満を抱かせる結果になります。
まとめ
サジェスト機能は、ユーザーの利便性を高めるだけでなく、ECサイトの売上向上に直結する重要な要素です。入力補助や関連キーワードの提案により、検索体験を向上させ、離脱率の軽減や回遊率の向上が期待できます。特に、トレンドや季節性を取り入れたキーワード設定や、検索結果が0件とならない工夫を行うことで、さらに効果的な活用が可能です。
実装方法としては、既存の検索ツールを活用する方法とカスタム開発による方法があり、自社のニーズに合った選択が求められます。サジェスト機能の効果を最大化するために、適切なキーワード選定や定期的なデータ分析を行い、ユーザー満足度を高めましょう。
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