元 楽天株式会社 取締役 常務執行役員
カーディナル合同会社 代表社員

安武 弘晃

HIROAKI YASUTAKE

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成功のエンジンは、「気合いと根性」。
インターネットを知らない人に、泥臭い実行力で広めていった。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

楽天市場の一番大きな成功要因って、なんですか?

安武様
安武

気合いと根性の気がします(笑)。凸版さんもモールをやってましたが、出店者さんを集めてものを実際に売るところまで。泥臭いことを何でもやる気合いと根性が違っていたと思います。出店者さんを集めるのも大変で、会議室にタウンページを置いて、ページを破いて、お前はここからここまで全部電話しろ、というのもやってました。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

かなりベタですね。

安武様
安武

インターネットを何も知らない人にものを売ってもらう、「ほら、こうすると成功するでしょう」、という実績を根性でつくっていました。その泥臭い実行力が成功要因だと思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ということは「営業努力」ですね。ひと言で言えば。

安武様
安武

そうですね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

逆に、買ってくれるお客様から見たときに、楽天の価値って、何だと思っていましたか。

安武様
安武

やっぱり利便性でしょうか、当時は他になかったので。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

お客様から見たとき、明らかに楽天は便利だったというのが大きかった?
対談風景

安武様
安武

便利よりも、インターネットでものが買えて、届くんだ、わあびっくり!という状況だったと思います。期待値が低かったというか。競合も特にないし、イメージとしては六本木とかで飲んでる人が、「おれネットでもの買ったんだよね、届いたんだよね」「すごいね」と。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

行ったことがないところに初めて旅行したんだ、みたいなノリですね。

安武様
安武

今の時代だとビットコインを使うと何かすごそうじゃないですか、そんな感じです。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

じゃあ、新しもの好きが使ってる。

安武様
安武

そうですそうです、アーリーアダプターがリスクを省みずに突っ込むみたいな。今の時代だとビットコインがいいメタファーと言えるでしょうね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

そうした人が増えつつ、ずっと右肩上がりですか?

安武様
安武

ずっと成長してました。18年か19年、下がってないですね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

すごいですね。その成功し続けている間、安武さんの仕事は、技術寄りに変わっていったんですか?

安武様
安武

いろいろな案件を手がけながら、事業拡大の一環として個人対個人のオークションサイトを立ち上げました。「個人間で取引できるインターネットのサイトがあったら面白くない?」と三木谷さんに聞かれ、面白いですねと答えたら、「じゃあ、つくって」と。指示をもらったのが1999年の5月です。

でも当時は別のオペレーションで忙しかったため、7月にオークションに集中しろと他の仕事を全部剥がされて、新しいオフィスに一人で席を置いて、2カ月でつくりました。それもサービスをつくる、デザインを描く、契約を固める、料率を決める、などなどビジネスモデルの全部をつくりました。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

昔の人って、分業されてないから全部やるんですよね。

安武様
安武

事業計画から全部つくらないと行けなかったですね。そうして9月にリリースしました。当時の名称は楽天フリーマーケットですね。すでにEコマース内にオークションがあったので、その名前にしました。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

その頃には、エンジニアとしても活動していた?

安武様
安武

はい、楽天フリーマーケットも作っていましたし、同時にコアなエンジニアの作業を減らすためのテクニカルサポートもやっていました。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

外部に開発を頼むとかは?

安武様
安武

なかったです。すべてを自分たちで開発/運用していました。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

三木谷さん自身は、プログラミングは?

安武様
安武

創業期の話ですが、三木谷さんと八重洲ブックセンターへ行って、プログラミングならこのへんを読むといいですよ、と伝えたら全部買って帰って・・・。翌日オフィスで、「一晩で半分読んだ、わかった、これは自分でやらない方がいい」と(笑)。それで連れてきたのが、最初のコアなエンジニアとなった私の師匠です。ちなみに三木谷さん自身も簡単なC言語の関数を書いて、そのプログラムは10年くらい現役で動いていました。彼は自分で手を動かしてみる、理解しようという気持ちがある、そういう人ではあります。

                                   

Part2へ続く
対談風景

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