元 楽天株式会社 取締役 常務執行役員
カーディナル合同会社 代表社員

安武 弘晃

HIROAKI YASUTAKE

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働き方に多様性を持たせれば、個人はもっと幸せになれる。
もはや、ひとつの会社に縛られる時代ではない。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

最後の質問になりますが、今後、どういうことをやっていきたいですか?

安武様
安武

ハイレベルな方で言うと、そういう幸せ感をもっと広げたいなと。働き方の多様性だとか、どこかに所属していないと選択肢がなくてつらい、みたいな状況を少しでも変えたいんですね。そのためにはやはり雇用の流動化とか、働き方の多様性が重要だと思っていいます。副業ではなくて、たくさんの会社から自分の給料が出ていて、一社に依存しない状況に持って行く生き方。それが、これからの個人の最適化戦略としては、幸せになる道だと思います。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

つまり、たくさんのお客様がいるのではなく、たくさんの会社のために働く?

安武様
安武

そうですね、そのほうがいいかな、と思っています。結局、派遣労働問題というのは、「正社員になることが権利」という背景に起因します。権利を持ってしまうと、放したくないじゃないですか。その権利に価値があるので、与える方も良きに従え、になってしまいます。これが不幸せな構造かと。

3社4社で働いていて、風向きが変わって一つが切れても、生活が安定している方が安心ですよね。そういう方向に持って行きたいな、と思ってるんですよね。05

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

ご自分でも、そういう方向に持って行きたいですか?

安武様
安武

自分自身、少なくとも自分がコミットする会社なら、そうした働き方が出来るほうがいいと思います。それをどう変えたいかというと、経営者側からすると、人を雇うということが重すぎるというか、一回雇ったら、その人の全てに責任を負わないと行けないじゃないですか。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

そうですよね・・・。

安武様
安武

だから気軽に一緒に働けて、プロジェクトが終わったら離れて、というスタイルになっていけばいいと思います。ただ法制度があるので、全国を一気に変えるとはいかないですが。少なくともITのレイヤーに関して言うと、もっと軽くなっていいんじゃないかなと。そのあたりが解決したい問題ですね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

安武さん自身もそうした働き方にしたい、ということなんですか?

安武様
安武

そうですね。ある意味、楽天を辞めて幸せなのは、毎日オフィスに来なくてよく、自分を必要としてくれる人のところに行って、サポートして、人によってはお金をくれて・・・。人によってはありがとうだけなんですが、それでいいかなと思っています。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

自分で会社をつくってサービスをつくって、その会社での儲けを極める、という考えではない・・・。

安武様
安武

プロダクトつくって、それで儲けが出ればいいですけど、プロダクトって一人じゃ出来ないですよね。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

できないですね。

安武様
安武

自分の人生がそのプロダクトに縛られたら、ちょっとしんどいかなと。他にもやりたいことがあるじゃないですか。このプロダクトにも、あのプロダクトにも、という関わり方は、経営者になるとわりと自由に出来ますよね。

雇う側と雇われる側で見ると、雇う側の方がリスクが高いのですが、それなりに自由が手に入るじゃないですか。雇われる側はリスクを取らない反面、ひとつに専従しないといけない。その間を取りたいんですよね、できれば。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

雇われているんだけど、いろんなことが同時に出来る。

安武様
安武

フリーランサーとか個人事業主とかは、本来、そうなるべきだと思います。でもそこが日本であまりうまく行かないのが、雇う側、お金を払う側の人に対して、専従で一生懸命やってくれる人が多すぎるのが問題だろうと思っています。しかしながら経済状態が思わしくないために、雇用流動化やバイト規制緩和の話などが出てきており、「俺のところで100%やれ」という拘束も難しくなってきています。その人のスペシャリティやスキルを複数の企業がシェアする状況に、だんだんとなっていくでしょう。

井上(ユニバーサルナレッジ)
井上

面白いですね。02

安武様
安武

そうすると出勤しなくてもいいし、必要な時に必要な場所へ行けばいいわけです。同じところで働いていると、人間関係にも影響されてしまいます。繰り返しになりますが、私は選択肢が多いことが幸せだと思っていて、人間関係でも自分が移れば解決するケースはたくさんあります。

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