ヤフー株式会社 代表取締役社長
宮坂 学様
MANABU MIYASAKA
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利益が出ない?バカ、それならサービスを200個作れ!
トシ
その一方で、たとえ人気がなくても1%でも使っている人がいたら、サービスはクローズするなとも。
宮坂
ああ、たしかに言っていましたね。
トシ
サービスを精査して、売上や利益をランク付けしたら、利用者の多いサービスに大半が集約されてしまった。では、あとの大多数をどうするんでしたっけ、という話をしたときのことは強烈に印象に残っています。
当時、100以上あるサービスの中で、利益を出していないものも多かった。これ、どうしましょうかと尋ねたら、『バカお前、200個作ればいいんだよ』と。これがもう信じられませんでした。
宮坂
必ず枕詞に『バカ』が付くんですよね(笑)
トシ
そうそう(笑)。なんか事業部長が一生懸命に話し合って、やっぱり止めた方が良いかと日和っているところに、『バカ、200個作れ!』ですから。そうした時、宮坂さんはどう感じました?
宮坂
すごく考えていると思いますね。井上さん自身は普段、社内でもあまり喋らない。でも何を尋ねても、バーン!とすぐに返ってきました。インターネット環境の話も同様で、少数派のOSやブラウザのバージョンは対応するとコストパフォーマンスが悪い。だから終了したいとお願いしたのですが・・・。
トシ
ああ、ありましたね、そんなことも。
宮坂
ゲーム機器でブラウジングする人もいましたが、それはやがて無くなっていくから終了させてくれと言ったところ、ユーザーが1%を下回れば許してやるけど、1%を超えているうちは止めるなと。これも横着するなという発想の一環ですね。
トシ
だいたい、『バカ、横着するな』というひと言に集約されてしまう。
宮坂
理屈に合うかどうか、可能性を常に考えていたと思います。
どうやっても不満は出る、組織は定期的に変えておけ。
トシ
私は事業部長という立場上、自分のビジネスだけに注意が向いて、会社全体の視点は欠けていたように思います。そこを最後は、井上さんがきちんとまとめてくれていました。
宮坂
組織体制で言えば、トシさんが事業部長の頃は、事業別組織ですよね。私が入社した当時は、職種別の組織だったんです。営業部、エンジニア部などに分かれていた。それが事業別組織に改編されました。そしてその後、もう一回、職種別に戻すんです。
トシ
それはどうしてですか?
宮坂
その件では井上さんと議論したことがあって、私は事業別の組織が良いと思う方なんですね。でも彼は組織の切り方は縦にしようが横にしようが、どうせ帯に短しタスキに長し、だから定期的に変えておけばいいと。ソードや東芝での経験もあったのでしょう。
トシ
カンパニー長だと、自分の事業に人員が欲しいですよね。
宮坂
そう、職種別組織では結構苦労したんですよ。自分の部下がいない状態、エンジニアがゼロという時もあった。必要な時にリクワイヤメントを書いて、エンジニアを借りるスタイルでした。機動的ではないので大変でした。
トシ
そこで宮坂さんは、社長になってから事業別にしたくなったと。。
宮坂
でもそうすると、不都合も出てきます。大規模なことができなくなったり。個別サービスのスピードを取るか、全体を取るか、これはもう永遠の議論です。いま思うと井上さんの言っていたのを、なるほどな、と思います。どっちにしても不満は出る、だから定期的に入れ換えるのがいいと。
トシ
現在はどうなっていますか?
宮坂
ハイブリッド化にしています。市場別の部隊もありつつ、全社のシステムを見ているチームを分厚く構えました。
トシ
全社を横串で見る組織があると言うことですね。
宮坂
現在は、そっちのほうが人数は多いですね。
トシ
では、カンパニーで人が足りなくなったら、横串の人から持ってくるんですか?
宮坂
それはしないようにしています。プラットフォームなど全カンパニーで共有する部分をつくる組織を厚くして、サービスの部門は軽量化させています。それが逆になってしまうと、組織として歪になってしまいますから。
トシ
たぶん、大きい会社に共通する悩みですね。
宮坂
事業別と職種別、組織としてどちらがいいのか、永遠のテーマですね。常に行ったり来たりしながら揺さぶっていくのが正解という気がします。
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