ヤフー株式会社 代表取締役社長
宮坂 学様
MANABU MIYASAKA
2 / 3
大らかで寡黙。彼のスタイルを、今後も継承していきたい。
トシ
そろそろ最後の質問になりますが、井上さんの功績やつくりあげたカルチャーは、今後にどう活かしていきますか。
宮坂
井上さんって言葉は悪かったけど、仕事で成果を出せなかった人にも優しかったと思います。一生懸命にやってさえいれば、温かい目で見ていてくれる。『あいつはできない奴だから』なんて絶対に言わなかった。
彼から見ると、我々は全員ができない人間だったでしょう。でも使える人、そうでもない人、という差別はしなかったし、能力差がある中でがんばっていたり、会社が好きだったりする人にはちゃんと飯を食わそうと。そんな大らかさがあったように感じます。
トシ
大らかさですか、なるほど。
宮坂
そうしたところは、私も引き継ぎたいと思っています。仕事ができる、できないという軸は大切なんですが、一方で、結果は伴わないけど何とかして貢献したいと思ってる人を、井上さんは後押ししていた気もするんです。私自身、入社当時の何もできなかった頃を振り返るとそう思えますし、たとえ怒られても居場所がなくなるようなことはなかったんですよ。
トシ
みんな安心して働けますね。
宮坂
それはすごく良いことですよね。だから私もカルチャーとして残していきたいし、逆に仕事ができるからと言って威張る人はどうかなと思います。人の判断を一面だけでしないというか、人として見習っていくべきところがあります。
トシ
人として、ですね。
宮坂
人としてのスキルが色々ある中で、仕事はひとつの側面でしかありません。足が速いことと、何ら変わらないわけです。ひとつのスキルを抜き出して、その人をどうこう言うのはおかしな話です。そうした考え方のようなものを、井上さんを見ていて感じました。
トシ
宮坂さんの長期的テーマは、「ちゃんとした人になる」でした。そことも関連してきますか?
宮坂
それもあるでしょうね。井上さんは良くできた人だった。
トシ
そこは私も同感です。
宮坂
あと、もうひとつカルチャーにしたいと考えているのが、辞めた後に自分語りをしない部分。ヤフーの創業期から社長を続けてきた井上さんでありながら会長職にもならず、また自伝を書いたり、メディアに出たりしない人でした。それは後任の私からすれば、すごくやりやすかった。
トシ
結局、在職中も辞めてからも、メディアにはあまり出てこなかった。
宮坂
辞めた人間が本を出す事例は、最近よく目にします。もちろん本の内容にもよりますが、書かれた方は大変な思いをするかもしれない。だから私も、退任したら彼のスタイルを踏襲したいと思います。
トシ
辞めた後に他の仕事をしなかったのも、彼なりの美学に思えます。
宮坂
インターネットの仕事で言えば、日本ではヤフー以上に大きなところはないので、それも影響したんじゃないでしょうか。なんで今さら、もう一回やるんだ、と。あちこちから引っ張りだこだったと思いますが、もう燃える仕事がなかったのかもしれません。
トシ
まったく別の分野なら、少しは可能性もあったかもしれませんね。
-
「ユニサーチ」製品情報
ECサイトの売上アップを らくらく実現する商品検索エンジン
サイト内検索コラム
サイト内商品検索の改善に役立つTipsや、運用改善方法などをご紹介しています。
ユニナレ対談
- 対談 05
本橋 徹(株式会社バルーン)
- 対談 04
曽山 哲人(株式会社サイバーエージェント)
- 対談 03
ヤフー前社長・井上雅博
[追悼対談]
- 対談 02
宮坂 学(ヤフー株式会社)
- 対談 01
安武 弘晃(元 楽天株式会社)