株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括
曽山 哲人様
TETSUHITO SOYAMA
創生期のeコマースに出会い、ネットで勝負したくなった。
井上
それで話は伊勢丹時代に戻るのですが、入社後はどこに配属されたのですか?
曽山
まず、メンズ館で紳士服担当となりました。中でも私は、スーパーメンズというスポーツ選手やモデルさんが着るような、ビッグサイズの売り場に配属されました。ここは私の希望がかなった職場で、「紳士服全般のコーディネートをしたい」とお願いしていたんですね。そもそも伊勢丹ぐらい大きくなると、靴下やワイシャツなど、ワードローブ単体での売り場が主流です。それではつまらないので全部やりたいと申し出たところ、スーパーメンズなら靴以外は全部あるから、と呼んでもらえました。
井上
実際にコーディネートをやれました?
曽山
はい、ジャケットから靴下まで、全部担当できたので面白かったです。さらにここではeコマースも手伝わせてもらい、結果的に私の大きな転機となりました。
井上
その時代にeコマース?ずいぶん早くないですか?
曽山
たしかに早かったですね。私が入社したのが1998年なのですが、その年に
eコマースを手がけると経営判断が下ったんです。日本ではほんと草分けと言って良くて、それこそヤフーだって創立後数年しか経っていないときでした。
まだブロードバンドも全くない状況でのeコマースは、すごいチャレンジだと感じました。ただ、スーパーメンズはeコマースにぴったりの商品ではあったんです。
井上
というと?
曽山
当時、日本でハイブランドの4Lや5Lを売っているのは、新宿伊勢丹ぐらいのもの。それなら全国の潜在的な需要に、eコマースなら応えられるんじゃないかと始めたんです。それでプロジェクトチームに、1年目の私が『曽山君、ネット好きだったよね』と声をかけてもらいました。でも好きと言っても大学でブラインドタッチを練習して、初期のブラウザをいじってたくらいでしたが。
井上
結果はどうでした?狙い通りに注文は来たのですか?
曽山
もう日本全国、北海道から沖縄まで、ダイヤルアップの環境にも関わらず注文がたくさん来たんです。これは面白い!となりました。またカタログの写真を撮るのも楽しかった。撮って、Webサイトに掲載して、注文が来る。この一連の流れにワクワクしました。「あ、ネットって超おもしろい」と、ここでスイッチが入っちゃったんですね。
井上
ダイヤルアップで注文が入る。いまでは想像がつきませんね。
曽山
はい、もうネットもファッションも面白くて。でも私、伊勢丹はちょうど1年で辞めてるんです。
井上
短いですね、それだけ面白かったのに?
曽山
もっとネットで勝負したくなったんです。上司にはすごく怒られましたし、貢献も何もできていない状態でしたけど、気持ちは止まりませんでした。
井上
ということは、辞めたのは1999年・・・。
曽山
ドットコムバブルが始まってきた頃です。ネット企業もまだスタートアップだらけでしたね。
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