株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括
曽山 哲人様
TETSUHITO SOYAMA
上司と部下が面談ですり合わせ、評価への不満を解消。
井上
ところで当初は空回りをしたものの、評価制度は変えたと伺いました。ということは、以前から仕組み自体はあったわけですね。
曽山
目標管理制度と呼んでいました。私が何を変えたかと言うと、複雑だったものをシンプルにしました。たとえば入力項目もだいたい十分の一くらいに減らし、期初と最後だけ決めよう、あと任せる、といったものにしました。
また、現場からの不満として大きかったのが、査定への納得感です。人事本部長への就任時は、上司を飛ばして私への相談がたくさん来たほどでした。人間がやることなのでズレは出るものですが、これはまずい状態だと感じました。私が決裁すれば簡単ですが、どうせ次の査定時には、また揉めるはず。そこでまず、うまく回っているチームは何をやっているか、社内を調べてみました。すると週に1回、面談を実施しているところが見つかって、なるほど!と思ったんですね。ウィークリーですり合わせていれば、それはズレないよねと。
井上
営業時代とは違い、こんどは解決策が社内あったと。
曽山
はい、それで面談をしてもらったところ、査定や評価への不満がぐっと減ったんです。外資系だとOne on Oneインタビューと言いますが、上司と部下で、月一の面談を推奨したんですね。目的は上司と部下の信頼関係の構築なので、できているなら無理にとは言いません。でも、もし不安があるならやったほうがいい、そんなスタンスです。
井上
面談の場ではどんなことを話すのですか?
曽山
先月の振り返りと、今月の見通しです。そしてたまに、中長期のキャリアを聞く。その3つだけを聞けば良いと伝えています。スタートアップの特性として、期初と半期後では、状況ががらっと変わることもあります。だから数か月後を細かく詰めても、あまり意味が無いんです。けれど面談自体は10分で終わってもかまわないから、行ってくれと社内に周知しました。
井上
ちなみに査定の結果は、いわゆる「給与テーブル」と連動していくものなんでしょうか?
曽山
厳密ではありません。我々は半年ごとに定量7割、定性3割で成果を評価します。成果があがれば給与は上がり、期初の目標通りでなくても構いません。項目にこだわってフォーマットに記載しても、誰も見ないですから。それより評価と金額の連動を重視して、部署間や部門間、年代などの要件とズレがないか確認するほうが現実的という判断です。
井上
では途中で目標が変わり、やるべきことが変わったとしても、その達成水準によって正しく評価され、給与にも反映されると言うことですね。
曽山
上げ幅の決定には、年俸レンジを目安として調整はします。年俸と評価のグレードで目安があって、それをもとに各部門の役員が相談する流れです。
井上
賞与も同じ考え方ですか?
曽山
サイバーエージェントでは、賞与はほぼ、ありません。代わりにインセンティブがあり、営業の目標達成や期末の業績に応じて支給されます。
井上
年俸制の方がいいという判断の根拠は・・・?
曽山
社員の側からすると、キャリアの安定性がまったく違います。賞与メインだと、年収が不安定になってしまいます。もともとサイバーエージェントは終身雇用をポリシーとしており、収入の変動幅は少ない方が良いというスタンスです。会社と一緒に闘ってくれるのであれば、少しずつでも伸ばしていってあげたい。一方で年齢関係なく、大きな成果を出した人は、一気に年収も上がります。収入が乱高下したり、下位になると生きていくのが厳しい会社にはしないようにしています。
井上
年棒のグレードというのは、世間一般のベースアップの仕組みと同じでしょうか?
曽山
そうしたイメージで給与がアップする人もいます。それがまず安心材料として最低限、担保されていて、その上で大きな成果を出したり仕事を成し遂げたりすると、ポンっと上がります。
井上
グレードと言うより、純粋に能力給という考え方をする企業もありますよね。
曽山
能力は役割、つまりグレードに紐付けて考えています。能力があるなら、責任ある役割を引き受けてもらうわけですね。
井上
そのグレードで給与はいくら、というのは社員と共有しているんですか?
曽山
見せてはいないですね。
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