私が検索の仕事を好きになった理由のひとつは、前職でウェブ検索のキーワードに触れることができたことです。これは大きな経験でした。
1日に何千万という検索が行われていますが、今日と昨日のキーワードを比較しても数十%が入れ替わります。毎時毎秒変化するキーワードログを眺めると、デジタルデータというよりもそれは無数の生き物が泳ぎ回るうねりのような感覚を覚えたものです。
「Search is verb(検索とは動詞である)」というフレーズがあるように、キーワードの背景にはユーザーひとりひとりの検索意図があります。それぞれの検索意図を理解した検索結果を返すことがユーザーを助けることにつながるという思いをこのとき持ったわけですが、その気持ちは今も変わっていません:)
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キーワードの背景にある検索意図を理解する
キーワード分類を行うことで、いろいろなことが分かります。検索エンジンがあってはじめてキーワードが存在するわけですが、逆説的には、よい検索結果を提供するにはキーワードを理解することから始まります。
キーワード分類ステップ1
- 1. 1カ月分のキーワードログを用意します(曜日ごとのバイアスをなくすため最低でも1週間がのぞましい)
- 2. 全角英数字を半角にするなどの正規化処理を行います
- 3. 検索回数順にキーワードを並べます
この作業で、1位〜X位のキーワードで総検索回数のY%を占めるかが分かります。たとえば、上位3,000キーワードで全体の50%を占めることが分かれば、ステップ2のキーワードタイプ分けはトップ3,000キーワードで十分であると判断できます※1。または、上位3,000キーワードでは全体の数%しか占めない場合は、全キーワードログからランダムでサンプルキーワードを抽出して分析する必要があります※2。
キーワード分類ステップ2
1. ステップ1の指標をもとに、サンプルキーワードを抽出します
2. リストの上から順にタイプ分けを行います※3。取り扱い商材によっても変わりますが、商品検索のキーワードは以下のキーワードタイプに大別できることが多いです※4。
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- ・カテゴリ名
- ・商品名
- ・メーカー名
- ・スペック系(素材、サイズ、カラーなど)
- ・キャンペーン系
- ・意味不明
- ・上記の組み合わせ(「メーカー名+商品名」など)
キーワード分類ステップ3
これらの作業を行ったあとに、数値とかけ合わせて集計することで以下のことが分かります。
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- ・ユニークキーワード数
- ・キーワードボリューム(総検索回数)
- ・キーワードタイプごとのユニークキーワード数)
- ・キーワードボリューム
以上です。
キーワードのタイプが分かると、どのような検索結果になっていると良いのかを考えるきっかけになります。もし「カテゴリ名」タイプが多く、「カテゴリ名」のなかでも「書籍」と「家電」が多いという傾向が分かれば、そのキーワードタイプを中心に検索エンジン改良の計画を立てることができます。
また、次回以降にご紹介する「検索結果のクオリティ評価」でもキーワードタイプごとのスコアを出すことができたりもします。
地味で地道な作業なのですが、得るものは大きい作業ではないでしょうか。
Footnote/注釈
※1:キーワード分類のサンプル数は分類をする人的リソースにもよります。もちろん数多く分析できればできるほど良いです。
※2:当たり前ですが、取り扱う商材が多かったり、ユーザー数が多い場合は、キーワードログのテールは長くなる傾向があります。
※3:分類時に「略語」「入力ミス・変換ミス」「アダルト」などの属性も別にチェックしておくと、同義語やスペラー機能の必要性なども把握できるようになります。
※4:キーワード分類のコツは、適当なキーワードタイプが分からないときは「その他」として、後で適当なキーワードタイプを考えるのがよいです。また、もし余力があれば、「カテゴリ名」「商品名」をさらに細分化することもおすすめです。
(つづく)
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